市長コラム(令和8年度)
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令和8年5月

経済安全保障とよく言われますが、今や「産業のコメ」ともいわれる半導体こそ最も重要な戦略物資でしょう。普通世の中にある物質は、金などの電気をよく通す「導体」とゴムのように電気をほとんど通さない「絶縁体」の二つに分けられますが、条件によって電気を通したり通さなかったりする「半導体」というものもあります。電気の流れを「ON」にしたり「OFF」にしたり精密にコントロールできるため、機械に複雑な指令を出すことができます。これにより情報の計算、記憶、電機の変換などが可能になります。今やスマートフォン、パソコン、電気自動車、また生成AIなど私たちの身の回りの電子機器にはほとんどすべて使われており「産業のコメ」と呼ばれる所以となっています。
1980年代までは日本の半導体産業は世界シェア50%を超え、我が世の春を謳歌していました。しかし、日本を脅威に感じた米国などからのバッシングを受け、1986年に「日米半導体協定」が締結されたことによって外国製シェアを強制的に拡大させられたり、ダンピング防止などを理由に、世界市場において価格競争力を失ったことや、設計から製造までを自社で行う「垂直統合」にこだわるあまり、設計専業の「ファブレス」と製造受託専業の「ファウンドリ(TSMCなど)」に分かれる水平分業モデルの流れに乗り遅れるなどして、急速にそのシェアを失っていきました。
今、政府を中心にチップそのもののシェアが1割にまで低下した国内半導体産業をもう一度世界のトップレベルにまで押し上げようとする試みが、猛烈な勢いで進んでいます。日本の強みは、シリコンウエハーやフォトレジストなどの半導体材料(世界シェア48%)と、東京エレクトロンやアドバンテストなどの製造装置(世界シェア31%)、画像センサー(ソニーが約50%のシェア)などの特定デバイスなどにあります。その強みを生かし
(1)TSMC(熊本)の第1工場に続き、第2工場建設を本格化させ、国内初の「3ナノ(㎚)プロセス」の先端半導体生産に向けた準備を加速させる。
(2)Rapidus(北海道)において2ナノ以下の最先端ロジック半導体の施策ライン稼働を目指し、IBMやベルギーのimecとの連携を通じ、技術確立と国から8000億円規模の集中支援を行う。
などを行っています。
半導体受託生産シェア約70%のTSMCが立地する台湾海峡情勢が緊迫化する中で、産業のコメの国内生産は最も重要な経済安全保障政策といえるでしょう。
(参考:本コラムにおける数値データの出典について)
※本コラム内の各数値データは、経済産業省「半導体・デジタル産業戦略」および公開されている各種市場調査データ等に基づき記載しています。
令和8年4月
中東情勢が緊迫化する中で、新年度令和8年の4月を迎えました。
新しい年度の一般会計総額は580億円、過去二番目の大きい予算となっています。子育て・教育、福祉・保健、防災・減災、DX、まちの魅力などに注力したものとなっています。詳しくは今後の広報、公式ホームページ等でご覧ください。
年度の初めにあたって、時と出会いに思いを巡らせましょう。
先月は母の死という出来事があり、経典を聞いたり読んだりすることが多くなりました。
仏教の時の概念に目を見張りました。「正信偈(しょうしんげ)」の中にある「五劫思惟之摂受(ごこうしゆいししょうじゅ)」という文の五劫ですが、五劫は時を表し、四十里(約160km)の立方の岩を3年に一度ずつ(諸説あり)天女が降りてきて、その羽衣で拭って、すり減り無くなるまでの時間(盤石劫)を一劫と言いその5倍、とてつもなく長い年月のことをいいます。
一方で、刹那主義とかに使う「刹那」という言葉は日常でもよく使われますが、これも仏教用語です。刹那とは指を一回弾く間に60から65刹那あると言われ、人間の認識を超える極めて短い時間のことを言います。すべてのものは、生じた瞬間に滅び、次の瞬間には別のものが生じる(刹那滅)という考え方があります。
仏教の壮大な時間の観念について述べました。私たちは刹那と五劫の間で生活し、一生を暮らすのです。
新しい職場や学校で未知の人と出会う、これもまた数学的には奇跡です。限りある人の一生で出会う人の数は限られています。出会えた人に感謝し、ともに働き、ともに喜び、ともに泣き、ともに学びましょう。
これがまさに一期一会で、一生の間に二度とないことだと思わなければなりません。新年度、仏教的な考え方で、出会いの奇跡に前向きな気持ちで生きましょう。

