市指定文化財 徳川家康禁制(長光寺)
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縦40.7cm、横35.6cm。織田信雄・徳川家康と羽柴秀吉が尾張国内を主戦場として対決した天正12年(1584)の「小牧・長久手の戦い」の初期段階にあたる3月25日に、家康が六角堂長光寺に与えた禁制(木札)である。徳川軍の兵士や陣夫らが長光寺境内に乱入して略奪をはたらいたり、寺の外周に植えられた木や竹を伐採したり、寺領の作物(麦)を刈り取ったりする行為を禁止し、寺の安全を保証する内容である。『尾張徇行記』に発給者不明の「古制札」として写しが掲載されているが、今回発見された現物に、「福徳」の印文をもつ朱印の印影(円形)が残っており、家康によって出されたものと確認できた。家康が信雄とともに清須城に在陣していた期間中に発給したもので、2日後の27日には萬徳寺(長野三丁目)にも家康の禁制(木札)が出されている。そののち3月末には信雄・家康が小牧城に、秀吉が楽田城(犬山城)に入城して両軍の睨み合いが始まり、4月8日に長久手の合戦で徳川軍が秀吉方の池田恒興・森長可らを討ち取って勝利を挙げたが、両軍の戦闘は同年11月に講和が結ばれるまで各地で断続的におこなわれた。戦いが本格化するのを前にして、稲沢市内でも軍事的緊張が高まっていたことを物語る貴重な歴史資料である。

名称
徳川家康禁制(トクガワイエヤスキンゼイ)

文化財区分
市指定文化財

種別
歴史資料

時代
天正12(1584)年

員数
1枚

管理者
長光寺(チョウコウジ)

地区
大里東

所在地
稲沢市六角堂東町三丁目

指定・登録日
平成24年11月1日指定