稲沢のむかしばなし 目比のかしの木(稲沢市目比町)
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稲沢市の南の端にある目比町の「かしの木」というお話です。
むかァし、むかし、この村には両手を広げてもかかえきれないような「かしの木」があった。
この「かしの木」は、村人にとっても親しまれまた、村の自慢のひとつでもあった。
ところがある年、思いがけない季節はずれに、大きな台風がやってきた。ビュービュー。激しい風と雨は、村の家々をゆるがし、大きな家々もつぎつぎとなぎたおしていった。
そして、大きな「かしの木」も、根を半分以上も地上にあらわしておれ、近くの道をふさいでしまった。
台風が去った数日後、村人たちはおれた「かしの木」の前で考えておった。「なぁー。村の衆。このままにしておくわけにもいくまい。どうしたらよいものかのう。」
しかし、なかなかよい知恵はうかんでこなんだ。
「むーん。しかたがねぇ。残念だけれども、根元だけ残して切ってしまうだァー。」
ところが次の朝、村人が切る道具をもって「かしの木」のところへいくと、ふしぎやふしぎ、「かしの木」は一晩のうちに、またもとのように地面にしっかりと根をはり、まっすぐ空にむかって、伸びているではないか。
村の人は、びっくりして、腰をぬかす者も出てきた。「かしの木」をじっと見つめ、みんな首をかしげたそうじゃ。
それ以来、目比町では「かしの木」が起き上がった日に、むくい神社で「かし祭」を行うようになったということじゃ。