稲沢のむかしばなし 井堀の大蛇(稲沢市井堀町)
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井堀町に伝わる「井堀の大蛇」というお話です。
井堀村は昔から水に恵まれて、田畑が青々としげり、毎年豊作が続いておった。
「稲がこんなに実って、今年も大豊作まちがいなしじゃ」
「ああそうだとも。わしの畑でも、野菜がこんなに大きくなったじゃ」
村の人たちは、秋の収穫を楽しみに、自然にくわやびっちゅうを持つ手にも、力が入っていた。
今日も村人は,朝早くから田畑に出かけて行った。
「大変じゃ、うちの田んぼがメチャクチャに、荒されているんじゃ」
お百姓の声に、村人たちがつぎつぎと集まって来た。
「どうしたんだべぇ。こんなに荒らされて」
「ほれ、あそこにあんな大きな穴が・・・・」
ところが、次の朝もまた次の朝も、同じように田畑がふみ荒らされておった。
村の人たちは、いろいろ考えたあげく、お稲荷様の服部老人に相談することになった。
老人はさっそく、頭から水をかぶるお祈りを始めた。
「アラ、ムンニャー、ハラハラ、エーィ」
ある日、老人は変なことに気がついた。
「むっ、変だぞ。風がないのに稲が大きくゆれ動いておる」
老人は回りをそっと見まわした。すると、大きな目をギョロットとさせた大きな蛇が、あたまをもたげて老人をじっとにらみつけているではないか。
「あっ。大蛇だ」
老人はびっくりして、腰を抜かしてしまった。それもそのはず、10mもあろうと思われる大蛇が、田畑をうねっていたのである。
老人は足を引きづりながら、はって行き、このことを村人に話した。
「なぁ、みんな、このさいこの大蛇をお稲荷様に、祭り込んだらのう」
「ああ、それがええだ」
こうした村人の努力により、大蛇は二度と井堀に、現われなんだということじゃ。