出血した時の応急手当
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出血量による症状
人の体内には、どれくらいの血液があるのか知っていますか。通常、体重の約7から8%(体重の12分の1から14分の1)と言われています。
例)体重60キロの人で約5リットル(60キロの8%は4.8リットル)
一般に体内の血液の20%が急速に失われると、出血性ショックという重い状態になります。
例)体重60キロの人で約1リットル(4.8リットルの20%は0.96リットル)
30%を失うと、生命に危険を及ぼすとされています。
例)体重60キロの人で約1.5リットル(4.8リットルの30%は1.44リットル)
全血液量の2分の1の出血量だと…
例)体重60キロの人で約2.4リットル(4.8リットルの50%は2.4リットル)
ショック状態とは
出血などによって、体内の重要臓器や細胞の機能を維持するための充分な循環血液量が得られなくなった状態をいいます。ショックの見方とポイントは、下記を参考にしてください。
観察
顔色を見ます
表情はぼんやり、目はうつろ。
皮膚は青白く冷たい。
冷汗がある。
唇は紫色か白っぽい。
呼吸を調べます
呼吸は速く、浅い。
脈拍を調べます
脈拍は弱く、速い。
出血の種類
出血は大きく分けて、動脈性出血と静脈性出血とがあります。
動脈性出血
文字通り動脈からの出血。色は鮮紅色、脈を打つように「ピュッ、ピュッ」と血が噴き出します。短時間に多量の血液を失うので速やかな止血処置が必要となります。
静脈性出血
文字通り静脈からの出血。色は動脈血に比べ暗赤色、出血の仕方も違い、持続的に「ジワー」と出血します。動脈性出血に比べ慌てる必要はありませんが、出血が多い時はやはり、速やかな止血処置が必要です。
毛細血管出血
転んですりむいた時や、指先を切った時など滲み出るような出血です。
手当
止血方法は、どんな出血に対しても基本的に圧迫止血法を行います。圧迫止血法には、直接圧迫止血法、間接圧迫止血法があり、最後の手段として緊縛止血法を行います。
直接圧迫止血法
この方法は、最も簡単でしかも確実な止血効果を得られます。滅菌ガーゼや清潔なハンカチなどを直接傷口に当て、強く圧迫する方法です。左図のように、手にビニール袋などを被せて圧迫すれば血液感染の防止になります。静脈性出血、毛細血管出血は、ほとんどこの方法で対処できます。が、直接圧迫止血法で止血できない場合は以下の方法があります。
間接圧迫止血法
これは水道ホースのホースを踏むと「水が止まる」原理と同じで、傷口を直接圧迫しながら、傷口から心臓に近い動脈を、骨に向かって指で押さえることで、血液の流れを止める方法です。(赤い線は動脈)
腋より手側の出血
腋の下(腋窩動脈)を押さえます。
肘より手側の出血
力こぶの下(上腕動脈)を押さえます。
手首より先の出血
橈側動脈(親指側)を押さえます。
尺骨動脈(小指側)を押さえます。
指からの出血
側指動脈(指の両脇)を押さえます。
緊縛止血法
止血法の最終手段
手足の大出血時、腕・足などの切断時に行う方法で、直接圧迫止血法では止血が困難な時に行います。
この止血法は、正しく行わないと血管をつぶしたり、神経を切断したり、末梢神経を壊死させたりする危険があるので安易に行ってはいけません。
出血している傷口より中心側(心臓部)の動脈を止血帯(幅3センチ以上)などを使用して強く縛ります。
針金、細いビニール紐などは細すぎて、圧迫が不十分で、組織や血管、神経を痛める原因となります。
止血(緊縛)開始時間を明確に記録します。
1時間以上緊縛した状態にしておくと阻血状態となり、神経麻痺や、筋肉など細胞の壊死を招くため、30分から60分に1回は緩めます。緊縛部より先に赤みが差すくらい血流を再開させる必要があります。
傷口は心臓より高くして安静にさせ、医療機関へ搬送します。