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あしあと

    桜ネックレスの歩み

    • [更新日:]
    • ID:1273
    写真:平和支所屋上より南を望む

    桜ネックレスの実現へ

    「『さくらのまち 平和』の復活を!」人々のそんな想いを受け、昭和61年、町の総合計画の主要事業として「桜まち平和」構想が位置づけられました。そして、その中心に、豊富な河川環境を利用した桜づつみをネックレス状に形成しようという「桜ネックレス」構想が据えられました。
    旧平和町支所前から日光川まで、日光川を下流へ須ケ谷川まで、そして須ケ谷川両岸を平和中央公園まで、総延長約2,800mを桜並木でつなごうという大事業に取り組もうとしたのです。

    八重桜のトンネルを!

    「桜ネックレス」構想のスタートは、日光川河畔の桜並木の復活でした。時は、平成2年。建設省(現国土交通省)の「桜づつみモデル事業」として認定を受け、工事が始まりました。
    「桜」といえば「ソメイヨシノ」が一般的です。誰もがソメイヨシノの桜並木を思い描いていました。ところが、担当者の想いは「日光川を、開花期間の長い八重桜の並木にしたい」というもの。でも、「管理方法も分からないのに、大丈夫なのか?」と、周囲の人々はおいそれとは首を縦に振ってくれませんでした。
    「桜の通り抜けで有名な造幣局に聞けば、役立つ情報が得られるのではないか」。
    平成5年9月、職員らは、一路、大阪へ向かいました。

    桜守 第16代佐野藤右衛門氏との出会い

    大阪に着いた職員らは、造幣局で、桜の通り抜けについての説明を聞き、配置や植栽間隔を調査。八重桜の並木への想いがますます強まり、その想いはそれまで半信半疑であった人々の心までも動かすこととなりました。
    しかし、多品種の桜づつみは全国的にあまり例がなく、植栽計画や管理についての一抹の不安は拭えませんでした。
    「やはり、専門家の指導が必要だ…」。

    そんなとき、日本の桜守(さくらもり)第16代佐野藤右衛門※氏のことを知ります。鷲尾地区の桜苗木が縁で、第15代と面識があった人物からの助言でした。聞けば、造幣局に佐野氏と懇意にしている職員がいるとのこと。そして、平成5年11月、造幣局の紹介で、佐野邸への訪問の機会を得ます。

    第16代佐野藤右衛門氏の写真

    第16代佐野藤右衛門氏来町

    佐野氏は、いきなりの相談にもかかわらず、快くアドバイスをしてくださり、さらに、翌月、はるばる京都から来町され、直々に指導もしてくださいました。桜を愛して止まない佐野氏だからこそ、「桜のまちの復活」を願う人々の熱意を理解してくださったのでしょう。
    こうして、佐野氏のご指導のもと、また造幣局や公益財団法人日本さくらの会からの協力も得て、平成6年3月、約30種類の八重桜を配した日光川桜づつみが完成しました。

    アドバイスをする佐野氏の様子

    植栽に関しさまざまなアドバイスをされる佐野氏

    ※第16代佐野藤右衛門
    京都市右京区で代々植木造園業を営み、現在当主が16代目を名乗っておられます。14代、15代とも桜守として知られ、桜の品種の収集と保存、桜図譜「さくら大観」を出版、そのほか円山公園(京都)の桜の移植、兼六園での菊桜の接木など日本の名桜を守るために尽力されています。

    歴史の生き証人を守るために

    人々の期待を受け、整備が進む日光川桜づつみの八重桜の並木。が一方で、順次行われる河川改修工事に伴って、先人が植えた桜を伐採しなければならないという状況に陥りました。桜のまちづくりを進めようとしている矢先に、なんと皮肉なことでしょう。「桜のまち」の歴史の生き証人である、日光川のソメイヨシノ。住民からも、立派に育った桜を惜しむ声が数多く聞かれました。
    「移植によって、桜を救えないだろうか」。
    ソメイヨシノの寿命は、一般的に50年といわれます。日光川のソメイヨシノは昭和40年代に植栽されたもので、樹齢は約30年。通常、移植できるものは根回り40cmまでの若木といわれており、また移植に成功しても残りわずかの命です。しかも、病害虫に弱いソメイヨシノのこと、地元の造園業者などに相談しても、「技術的に不可能」と一蹴される始末でした。
    一縷の望みは、佐野藤右衛門氏でした。職員らは、初めて佐野邸を訪れたその日、ソメイヨシノの移植についても相談を持ちかけました。
    「かなり難しいが、やってみましょう…」。

    平成5年12月、来町された佐野氏は、移植の可否を確認するため、日光川に残っていた52本のソメイヨシノ一本一本を全て、木に登って枝振りを調べたり、上根や花芽を細部まで観察したりするなど、緻密な調査をしてくださいました。そして、健康な5本が移植の候補として選ばれました。

    枝の写真

    枝振りをみて病気の有無を確認

    調査する様子

    土を掘り起こして上根を調査

    観察する様子

    花芽をルーペで観察

    寒風の吹き荒ぶ中

    平成6年12月22日、伊吹おろしの冷たい風が吹く中、5本のソメイヨシノの移植作業が始まりました。移植にあたっては、佐野藤右衛門氏自らが、陣頭指揮に当たられました。

    まずは、桜の枝折りからです。長さ8mほどの巨大な棒を桜に添え、枝を痛めないよう細心の注意を払って、3日間にわたって枝を束ねる作業が進められました。

    桜の移植の様子

    桜をクレーンで吊り上げ、移植がスタート

    翌年1月23日、続いて、桜の掘り起こし作業に入りました。直径3m、厚さ1mもの根鉢を作っていきます。切断した根の断面には、腐り込みを防ぐため、櫨ロウ(ハゼノキから取れるロウ。和ロウソクの原料となる)が塗られました。7トン弱もある桜を、根鉢から吊り上げることになるため、根鉢が崩れないよう、寸分の隙間もなくコモと縄で根を巻いていきます。5本の桜の掘り起こし作業は、1月25日まで行われました。

    根鉢を確認される佐野氏の写真

    直径約3mの根鉢を確認される佐野氏

    平成7年2月3日、いよいよ桜の植え込み作業の日を迎えました。場所は、日光川と須ケ谷川とが交差するあたり、現在の日光川桜づつみ小公園です。

    植え込み作業の様子

    人の尿を薄めて撒くと根付きがよい」という言い伝えがあるとか…

    桜も人間と同様、環境が変わればストレスを感じます。ですから移植前と同じような条件を保ってあげなくてはいけません。例えば、幹の角度。移植するソメイヨシノは、堤防で生育していたため、根鉢が斜めになっていました。この角度を維持した状態で、植え込む必要がありました。もちろん、土壌や水にも気を配ります。また、害虫や病気によって桜が衰弱しないよう、幹の下半分に、ふのりと石灰を混ぜたものを塗り、新聞紙と緑化テープを巻きつけました。

    移植後の剪定作業をされる佐野氏

    こうして、佐野氏のご指導のもと、最高の技術と情熱を注ぎ込んで、5本のソメイヨシノの移植が完了。伐採される運命にあった桜が、新たな歴史を歩み始めました。

    ソメイヨシノの写真

    歴史の生き証人として根付きはじめたソメイヨシノ

    祗園枝垂桜の寄贈を受け

    その後、八重桜の並木や移植されたソメイヨシノを見守るために、何度も足を運ばれた佐野藤右衛門氏。さらに、祗園枝垂桜26本を寄贈してくださいました。この祗園枝垂桜は、あの有名な京都祗園の円山公園の祗園枝垂桜の孫桜にあたります。
    平成7年3月3日には、移植指導と桜寄贈への感謝の意を込めて、佐野氏を招いての記念植樹式が開催されました。寄贈された祗園枝垂桜は、このとき日光川桜づつみ小公園に植樹されたほか、後に、各施設や保育園などにも植えられています。
    こうして、平成6年の造成から始まった日光川桜づつみ小公園の整備は、ソメイヨシノの移植と、祗園枝垂桜や全国でも数少ない八重桜の植栽を経て、平成8年3月に完成しました。

    記念植樹式の写真

    記念植樹式にて

    保育園児らと植樹をされる佐野氏の写真

    保育園児らと植樹をされる佐野氏

    一方、須ケ谷川両岸は、農林水産省の「水環境整備事業」の採択を受け、桜並木とともに、人々が水と親しむことができる場所として、平成4年から整備工事がスタートしました。
    須ケ谷川岸には、昭和63年、地元老人クラブの手によってソメイヨシノが植栽され、その後も、地域住民の手で、管理がなされてきました。その意志を受け継ぐべく、ソメイヨシノを中心とした桜並木とし、また要所要所に、佐野氏寄贈の祗園枝垂桜などを植樹するという計画が立てられ、そして、平成10年3月、日光川から北へ、平和中央公園までをつなぐ約1キロの桜並木が完成したのです。

    稲沢の顔として。そして地域の活力として

    桜ネックレスの整備開始から、十数年。残念ながら、移植した5本のソメイヨシノのうち2本は、バーベキューが行われた灰などが原因で枯れてしまいました。しかし、残る3本は、今でも「桜のまち 平和」のシンボルとして、その巨木に多くの可憐な花をつけ、歴史と夢を語り継ごうとしています。そして、小公園内や日光川桜づつみの八重桜など、この地域に植えられた数々の桜は、日々成長し、毎年艶やかな花を咲かせています。

    また、この桜並木を地域の方により楽しんでいただこうと、平成7年から開催されるようになった「へいわさくらまつり」は、市町合併後も稲沢市の祭りとして引き継がれ、現在も毎年4月第1土曜に開催されています。
    また桜ネックレス事業を引き継ぎ、平成21年度には平和中央公園脇の堤防を桜並木とする整備を行い、須ケ谷川さくらづつみを延長しました。

    桜並木の写真

    へいわさくらまつり

    「桜のまち 平和」は、市外からも多くの人が訪れる桜の名所として注目を集め、また稲沢市の重要な観光スポットの一つとして、今後の展開が期待されているところです。

    ソメイヨシノの移植の折、佐野氏は「桜に人の精気が乗り移って花を咲かせる。愛情を持って接してほしい。大事なのは管理ではなく「守(も)り」をすること」とコメントされていました。小さな苗木が立派な成木となり、また美しい花をつけるようになったのは、これまでの「守り」があったからこそ。そして、桜の歴史と心を子や孫に引き継いでいくためには、これからも、愛情を込めた「守り」が欠かせません。

    そんな中、桜ネックレスを、「憩いの場」「交流の場」として、地域の人々の手で守り育てていこうという機運が高まっています。「平和の桜」は、地域活性化の源として、新たな道を歩もうとしています。

    あなたも、平和の「桜守」に!

    「桜ネックレス」の維持管理作業に、ボランティアとして、ご協力くださる方を募集しています。桜の保全と発展に、あなたの力を貸してください。私たちの財産である桜を、次世代につないでいこうではありませんか。

    詳しくは、平和支所(電話:0567-46-1111)まで、問い合わせてください。

    お問い合わせ

    稲沢市役所 市民福祉部 平和支所 総務・市民・福祉グループ 

    稲沢市平和町中三宅二丁割60

    電話: 0567-46-1111 ファクス: 0567-46-4660

    お問い合わせフォーム

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