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    液状化現象

    • [更新日:]
    • ID:1066

    液状化とは通常お互いにくっついている砂が、地震の揺れによってバラバラになり、地下水が上昇し地盤が下がってしまう現象です。液状化により人命が損なわれたことは過去の地震ではほとんどありませんが、砂や水が吹き出したり、地盤の沈下により建物が傾いたりする場合があります。

    図:液状化の説明

    稲沢市内の液状化被害予測は下記のページに掲載してあります。

    愛知県が発行する「建築物の液状化被害とその対策」パンフレットは下記のページからご覧いただけます。

    なお、稲沢市で行っていただいた液状化に関する講演会は以下のとおりですので参考にしてください。

    東日本大震災の被害状況と復興に向けて

    講師 千葉県浦安市 都市整備部 市街地開発課 主幹兼液状化対策推進室 室長 醍醐 恵二(だいご けいじ)氏

    プロフィール

    1981年浦安市役所入庁 総務課、都市計画課を経て1997年情報政策課に異動すると同時に、それまで庁内の複数課が独自に整備していた地理空間情報を一本化し、誰でも利用できる「共用空間データ」を構築。
    これを契機に総務省・経済産業省・国土交通省などが設置する地理空間情報(GIS)の普及・促進に関する各種委員を務めている。
    2009年から2012年までは市長公室企画政策課行政経営室長として、少子化・高齢化・人口減少時代へ対応するための各種施策立案や東日本大震災に対処するための緊急行政改革にあたった。
    2013年度より現職。

    写真:醍醐 恵二氏による講演会の様子

    講演会資料は下記の添付ファイルをご覧ください。

      液状化被害とこれからの対策 何が起こって、何に備えるか

      講師 関東学院大学 学長 理工学部 理工学科土木学系 教授 規矩 大義(きく ひろよし)氏

      プロフィール

      • 昭和63年3月 九州工業大学工学部 開発土木工学科 卒業
      • 平成5年3月 九州工業大学大学院 工学研究科 博士後期課程 設計生産工学(建設工学)専攻 修了
      • 平成5年4月~平成7年3月 横浜国立大学工学部 建設学科 助手
      • 平成7年4月~平成14年3月 佐藤工業株式会社 中央技術研究所 土木研究部
        この間、平成11年 国際協力事業団(JICA)派遣専門家 地震防災研究センタープロジェクトとして、トルコ共和国(イスタンブール工科大学)に赴任
      • 平成13年 国土交通省 国土技術政策総合研究所(横須賀)沿岸防災研究室 派遣研究員
      • 平成14年4月~ 関東学院大学 工学部土木工学科 助教授
      • 平成19年4月~ 関東学院大学 工学部社会環境システム学科 教授(大学院博士後期課程指導教授)
      • 平成25年4月~ 関東学院大学 理工学部土木学系 教授(理工学部長)
      • 平成25年12月~ 関東学院大学 学長
      写真:規矩 大義氏による講演会の様子

      講演会資料は下記の添付ファイルをご覧ください。

        講演内容

        稲沢市の特徴

        木曽川という大きな河川のほかに、ありとあらゆる川が流れています。その河川が運んできた土砂が堆積して形成された土地でして、水や砂に関わるような地名があることから液状化現象が起こる可能性がかなり高いと考えられます。

        液状化が起こるような地盤とは

        ハワイの辺りからマントルが吹き出して長い間をかけて日本の方にやってきて、日本の下の方に引きずり込まれるような形で太平洋プレートが形成されました。太平洋プレートが跳ね返ることで地震が起きます。

        火山から吹き出した火山灰が降り積もったり、溶岩になって固まったりしたところが風化して雨で流されてきて川に運ばれてきて砂になって堆積したなどいろいろなパターンで土が堆積します。

        元々どういう材料でできているのか、どういう粒の大きさなのかで大体性質が決まり、大きく分けると砂か粘土かに分かれます。

        砂については、砂山の形を保てるのは湿っているときだけで、粘り気がないため乾いているときはサラサラになります。

        粘土は水を通しにくく、粘っこく、水を蓄えやすい記憶性材料で、過去にどういう力を受けたか4回くらいは粘性を覚えることができます。

        土は土の粒々とその周りにある気体と液体を合わせて初めて土といいます。液状化は、粒々がかみあい、安定している状態から地震が起こることにより、粒が離れ、水が吹き出し地面がどろどろの水のようになり、結果として地盤が沈む現象です。

        液状化にまつわる話

        1964年におこった新潟地震の液状化で川岸町の県営アパートが横倒しになりました。このアパートの住民がどうなったかというと、家財道具は駄目でしたが、ほとんどの貴重品をリュックに詰めて、階段を使って降りられて近くの避難所でアパートが倒れていくところを見ていたとのことでした。また、昭和大橋という橋が落橋したのですが、一斉にドンと落ちたわけではなく、地面がゆっくりと移動することにより、土台も移動し、橋が一つずつ落ちていきました。

        1995年に起きた阪神淡路大震災の時の淀川河川堤防ですが、砂がずりだしているだけでなく堤防そのものが沈んでいます。また、同じように海岸堤防(護岸)も前に傾いたり沈下したりして水が流れ込んでいます。

        液状化については、1980年代から言われ始めていまして、当時は地中のライフラインが被害を受けたり、その上に載っている小規模構造物が傾いたり被害を受けるということが注目されていました。

        東日本大震災が起こる少し前に、南海地震や東南海地震を考えていく中で、津波は当然来るだろうと予測されていましたし、津波が来たときに大きな河川堤防の地盤が沈下することによって、通常の河川水位より高い津波の遡上高さを下回ったらどうなるかということを考えなければならなくなっていました。

        稲沢でも海抜10m以上の地点はなく、例えば氷室では海抜0mです。稲沢では、津波による被害はなくても堤防が下がることにより、堤防をすぐ復旧できるわけではないので、例えば雨が降って洪水が起こったり、水位が上昇し浸水したりすることがあるということを考えていかなくてはなりません。

        稲沢と似たような地域特性で実際に被害があったのが、1999年にトルコで起きたコジャエリ地震です。サカリヤ川の氾濫平野でできたアドパザールという街で液状化が起こり、建物が完全に倒れてしまいました。

        液状化被害では東日本大震災の際に千葉県浦安市が注目されましたが、2000年鳥取県西部地震が起きた際に米子市のとある団地では169棟の内116棟が1000分の5以上傾きました。1000分の5以上の傾きというのは生活不能な傾きです。復旧のジャッキアップで500万円以上かかるとされていましたが、地震直後は倒壊家屋として認定されず、地震保険の対象とはなりませんでした。しかし、住民からの働きかけと自治体の理解で全壊家屋と認定され保険適用されることになりました。これが液状化被害の家屋が全壊家屋として認定された初めての例です。

        液状化は経済的に被害を与えますが、命を取られるような被害にはならないというのが、かろうじて液状化の救いであるといえます。

        液状化のメカニズム

        通常、お互いにくっついている砂が地震により揺さぶられて砂の粒子がバラバラになり、水や砂が吹き出し、最終的にバラバラになった砂の粒が下に沈んで水が地面に吹き出て沈下するという現象です。ゆるく詰まった粒々が地震によって横向きに歪められ、粒々が下に落ち込もうとし体積が縮みます。ゆるいものがキュッと固まるわけですから安定した状態にはなるのですが、昔言われていたとおり1回液状化したらもう液状化しないかといわれるとそうではありません。

        液状化はどこで起こるのか

        柔らかい地盤に、高い地下水位の地面で地震が起こると液状化が起こります。地形的な要因で決まるのです。その中でも、埋め立て地は典型的で、決して若い埋め立て地で起こるわけではないですが、若い埋め立て地の例が多々あります。1964年に起こった新潟県の地震では1950年代の埋め立て地、1995年に起こった阪神・淡路大震災では1970年代の埋め立て地、東日本大震災で被害を受けた浦安市は1970~1980年代の埋め立て地です。

        埋め立て地といっても単に海岸地帯の埋め立て地だけではなく、古い川の埋め立て、下水管の埋設工事、ため池の埋め立て、水田の宅地化も埋め立て地です。

        2004年新潟県中越地震の見附市内の液状化被害ですが、旧版の地形図と合わせて見ると、昔の河道を埋め立てたところの被害が大きかったことがわかります。

        東日本大震災における液状化

        教授としては、「あれほど激しい液状化が生じるとは予想もしなかった」というのが率直な感想です。3・11のときに東京の巣鴨にいて、揺れたときに、この揺れは遠かったら嫌だなという直感はありました。東北で地震が起こったことを知り、その時は東北で液状化が起こっているなとは思っていましたが、20数年液状化の研究を行っていますが、まさか浦安市で液状化が起こるとは想像できませんでした。南関東では計測震度、体感ともに少なくとも「巨大地震」という揺れではありませんでした。

        東日本大震災は私たちが体験した初めての連動した地震で、いくつかのプレートがずれました。被害のあった地域と被害の無かった地域の違いは地形学的な歴史だけでは説明できません。また、これまでの予測が正しかったのかという点では、液状化は予想どおり起こりましたが、被害は予想どおりではありませんでした。

        浦安市で起こった液状化の原因というのも一言では言い表せませんが、場所によってそれぞれ埋め立ての年代や工法が異なります。また埋め立ての経緯も違うのでそういったことも関係しているでしょう。その一方で液状化しそうだという地層の厚さをみていくとバラバラですので、一概にこういう原因で液状化が起こったとはいえません。

        関東エリアを見ると、一度目の本震と約30分後に起きた余震がほぼ同じ大きさで起こっています。横浜市金沢区では本震で噴砂が起こり、余震のときに液状化により駐車場の床が落ちました。本震による液状化と、その後の余震による液状化は分けて考える必要があり、余震を含めての被害であることから今後の対策にどのような地震を想定するかが重要になってきます。

        住民の意識としては、数十メートル離れた土地は液状化していないのに自分の土地だけが液状化したのはなぜという思いがあります。また、建物の保証と宅地の保証は全く異なるものですが、その違いに戸惑うこともあります。

        液状化の予測

        浦安では4月15日に復旧しましたが、近隣の応援が受けられたため1か月程度で復旧しました。しかし、南海トラフ地震が起こると、関西から関東にかけてほとんどの自治体で同じ被害が起きますので、1か月程度では復旧することは不可能で、ひょっとしたら1年くらいかかるかもしれません。どういう風に自助・共助・公助を行うかは、東日本大震災の浦安とは状況が違うため考慮すべきことです。

        横浜市金沢区の液状化予測マップを見ますと海岸部が全域液状化する可能性があるとされていますが、実際、東日本大震災の時に液状化したのは一部でした。しかし、液状化の可能性がないとされていたところでも液状化が起こっています。

        液状化危険度はPL値で決められ、PL値が高いほど危険性も高くなります。
        横浜市の液状化マップではPL=0液状化の危険度はかなり低い、平塚市ではPL=0液状化の可能性ほとんどないと表現されています。可能性がほとんどないと表現されると市民目線では液状化はないと思われ、危険性が低いと言われるとちょっと違う捉えかたをされるため、表現の仕方によってだいぶイメージが違います。

        液状化危険度をどのように調べるかというと、地下構造をボーリング調査などで調べて、揺れ方を予測します。液状化は大きな力で揺すると液状化しますので、従来は20回揺らす想定で液状化する可能性を決めていました。しかし、東日本大震災ですと100回以上揺れているので、そういうことを考慮して液状化の可能性を調査しようという方向になっています。

        稲沢の液状化予測マップでは250mメッシュで評価していますが、細かな地域で評価することは、なかなか難しいものです。また、いくらメッシュを小さくしていっても個々の土地の液状化危険度はわかりません。市民目線ではメッシュ状で危険性が低ければ低いと認識してしまうので、前提条件を明示した方がいいですね。こういう地震でこういう条件で作った液状化マップですよと明示した方がいいです。また、液状化の危険性をこういう前提条件での中で、これを逸脱するときにはこういうことが起こり得ますよというのを説明していかなければならないくらい、想定する被害が大きくなっています。

        液状化の被害

        過去に、液状化で建物は杭で支持されていたので沈下しなかったが、道路が沈んでしまい、建物と道路に段差が生じるということがありました。こういったケースでは、住民の認識としては、建物に被害がなかったにも関わらず段差ができたため、液状化被害が発生した、液状化に対する見込みが甘かったと感じてしまいます。また、マンホールが浮き上がることは知られていましたが、地下駐車場などほかの埋設物が浮き上がるとは思っておらず、設計者は予見して対策すべきだったというような厳しい意見もありました。

        横浜市の小机駅周辺の団地では元々水田で、その下の地盤は粘性土でできていますが、砂を2m程度埋めて宅地造成したところでも砂質土が液状化しました。地震後も6か月以上にわたり沈下が進行したため対策をとろうとしたのですが、2mしか砂質土がないため、地下水位を下げることにより砂質土の液状化は防げるであろうが、その下の粘性土が地盤沈下を起こしてしまうので難しい。また、全体的な対策を行おうとすると、個人負担が300~400万円程度かかってしまい、団地住民の平均年齢が60歳以上のため合意を得ることも難しいというケースもありました。

        一般的な木造2階建てを四号建築物に分類されます。四号建築物は建物自体の構造安全性を確認する義務はありますが、沈下による建物が傾いたが損壊がない場合、構造安全性の確認が不十分だったといえるのかという問題もあります。

        液状化対策

        建築物を建てる前には地盤調査をするのですが、主流の試験方法であるSWS(スウェーデンサウンディング)試験は地盤の固さを調査することにより、建物がしっかり建つかを調べる方法であり、そこで液状化するかどうかを調べる方法ではありません。地盤の固さが判れば、液状の危険度がわかるかなという程度のものです。新しい試験方法としてPDC、SDSなどの方法もありますが、あまり浸透してきていません。

        また、液状化から守るべき地震を考えなくてはなりません。海沿いの土地で津波被害が想定されるところで、液状化の対策をとることに意味がないとはいいませんが、どういう目的があるのかと考えなくてはなりません。

        地域全体で対策をとるといった場合に、合意形成が取れるのかという問題もあります。

        液状化対策に対する基本理念としては、以下の3つに分かれます。

        1. 完全に液状化を抑止する
        2. 液状化の程度を抑えて、構造物に影響がない程度にする
        3. 液状化を完全に許して、構造物側で対処する

        1の場合は、まず費用の問題があります。例えば、25万㎡の埋め立て地を事前に液状化対策する場合ですと、概算で坪単価あたり120万円程度増加することがあります。

        2の場合は、対策に対する予測が重要になってきて、予測が外れた場合に許容できるかということと、例えば工場敷地に対策を施して、敷地内はトラックが通れるが、道路のマンホールが浮き上がることにより道路が通れないということでは意味がないため、行政と個人(法人)が一体となって対策をとらなくてはなりません。

        3の場合は、どこまでを被害と捉えるかということと、生命、財産、生活、不便などをいかに受忍するかということが考えられます。

        最後に

        民地の場合、どこまでの被害を許容するかは個人の判断に任せられますが、行政としては許容値を知らせておく必要があります。また、対策に掛かるコストと復旧する場合に掛かるコストを比較し、どちらが得かを計算するのは非常に困難です。また、実際に被災した場合に、命が無くなるのと同じだけのダメージかどうかを考える必要があります。

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