稲沢のむかしばなし 日光川のかっぱ(平和町丸渕)

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ページID1003156  更新日 平成31年1月25日

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イラスト:日光川のかっぱ

むかし、むかし。
平和の丸渕という村に五平という人が住んどってな。五平どんは馬を一頭飼っとったそうな。
なつのある日、そりゃ暑うて暑うてな、汗がぼとぼと出てきてたまらなんだ。
「馬もどんなに暑かろうなあ…」
やさしい五平どんは馬を引いて、河原へいったんだと。
浅いところで、馬のからだをごしごしあらってやった。馬は目を細めて、うれしそうに水をがぶがぶ飲んだ。
川原の木陰に馬をつないでな、
「涼んどれよ。夕方むかえに来てやるでな…」
と、たてがみをなでてやったそうな。
馬はうん、うん、というように首をふって、五平どんを見たと。
さて、夕方。
「川原は涼しい風がふいとったで、あいつも休まっただろうな…」
五平どんは、川原へ馬を連れにいったげな。
なにやら馬がしきりに頭をふり、ひづめで土をけり、「ひひーん、ひひーん」と、いなないとるじゃないか。
こりゃただごとではにゃと、五平どんは走りよってな。
「おい、どうした、腹でもいたいんか」と、たてがみをやさしくなでてやった。
ところが馬は、なにか訴えるようにあばれるばかり。
五平どんはあわてたぞ。
そりゃあたりまえだ。わけがわかりゃせんものな。
五平どんは、おろおろして、ふと、馬のしっぽを見たんだと。
なんと、きみょうな動物がしっぽにしがみついとるじゃないか。
そのおかしなものの大きさは、二、三歳の子どもくらいで、やせとって、黒っぽくはだはぬるぬるしとる。
おまけに口はとんがっとる。
そいつは、おうちゃくそうな顔つきで、五平どんをにらんどる。
「やい、おまえはなにものだ」と、五平どんがにらみつけると、
「おらあ、かっぱだがや」と、いったげな。
「うへっ、かっぱ?」
五平どんは、これが話しに聞いていたかっぱかと、びっくらこくやら
「馬のしんのこぬかれたら、どうすべ・・・」と心配になるやら。
その間にも、馬はそいつをふり落とそうとあばれとるが。かっぱは必死にしがみついとる。
「こら、はなせ。かっぱめ、はなせ」
五平どんは、大声でどなった。
ところが、かっぱのやつ、目をぎろぎろさせて、ちょっともはなそうとせん。
馬はなくし、五平どんは困ってしまってな。
「ようし、つかまえてしばっちゃうぞ。
日光川へ帰れんようにしちゃうぞ」
といって、綱で、かっぱをひっぱたいてやった。
かっぱは、「ひえっ」と声をあげたと思うと、川原へころげ落ちた。
五平どんは、そいつを、もういっぺんひっぱたいてやった。
かっぱのやつ、ふにゃふにゃになってしまったまま、ぎょろっと五平どんを見上げたと。
五平どんは急いでしばりあげた。
ぬるぬるのかっぱは、ほんとうにきしょく悪かったそうな。
「やい、みんなに見せてこらしめてやる」
すると、かっぱのやつ、みょうによわよわしい声でいったと。
「たすけてくれ!」
「いかん、おまえは人間のしんのこをぬくし、この馬だって、川へ引きずりこもうとしたんだろう」
「いや、ちゃうちゃう。おらこそ、この馬にだいじな頭の皿の水、こぼされたんだ」
と、なきだしたんだと。
「そうか、皿の水を、おらの馬がこぼしたのか、こりゃおもしれえ・・・」
わらいたくなるのをこらえて、五平どんはかっぱをにらんだと。
「もう、わるいことせんか」
「うん・・・」
かっぱは、うなだれるように、うなずいたと。
「ようし、この日光川に住まんと、約束するか」
かっぱのやつ、息もたえだえにうなずいたんだと。
そこで、五平どんは、かっぱの頭の皿に、川の水を入れてやったんだと。
とたんに、かっぱは力をとりもどして、ぷつんと綱をきって、日光川へ飛び込んだと。
それからは、五平どんも馬も、なんど川の近くへ来ても、かっぱには、いっぺんもあわなんだそうな。
この近くでは、子どもだけで川へはいるとしんのこをぬかれたものだが、安心して川遊びができるようになったんだと。
近頃では、そのかっぱが西の領内川で泳いでいるのを見た人がいるそうな。

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